素因減額とは、被害者に既往症があってその既往症が損害の拡大要因となっている場合や、被害者の心因的な要因によって損害が拡大しているような場合に、加害者が賠償すべき損害賠償額を減額するというものです。
素因減額は、過失相殺を規定した民法722条2項を類推して適用するという形で、損害の公平な分担という見地から、最高裁の判例上も認められています(最判平4・6・25、最判平8・10・29など)。
もっとも、単なる身体的な特徴(通常人に比べ首が長い etc)に関する素因減額の可否ですが、被害者の単なる身体的特徴が損害の拡大に寄与したとしても、その身体的特徴がが疾患にあたらないときは、特段の事情がない限り、これを損害賠償の額を定めるにあたり斟酌することはできないと判断されているなど(最判平8・10・29)、素因減額の適用にも一定の制限があります。 |